いたぞ!どこかに媚を売っていたような感じじゃないか?
次はどこへ行く?誰を呼んでいるのだ?
今度はナンだ?何を待っているのか?
なにしてんだか、さっぱりな女だ??面白いじゃないか。
・・・お?
ここ数年、色を失っていた俺の心に、
なにやらうずくものがあるじゃないか!
灯がともっているじゃないか!
足早に女は階段を上っていった。
けたたましい下駄の音だけが響き続けている・・・・。
あの音は、何かを解きたい俺の心の奥底の音なのか??
ちぇ、どうやら、心にやっかいなモノがついてしまった。
次に女の下駄の音を聞くのはいつなのか?
その時俺はまた・・・・・・。
石畳の路地裏。
「カラ・カラカラ・コ・・ロン」音痴な下駄の音。
あぁ、今日もだ。ここに流れてきておおかたこの時刻にこの音を聞くようになった。
流行の歌、あばずれ女達の嬌声、野郎どもの罵声・・そんな音の暮らしの中
この下駄の音だけが耳を捉える。なぜだ?
一流企業の重要ポスト・将来の幹部候補だった俺。
世に送り出した企画は全てヒットした。体力も充分。家庭も安定。
人生は満ち足りていた。が、一瞬にして崩れた。
人事からの通達は冷酷そのものだった。
まさか・・、地獄へ落とされた。トップで生き続ける人間ではないのか!!
いくら責任を負わされるといっても、そんなものなのか!!
女房、娘、家族への愛情も、
自分を再起動させるエネルギーも気持ちも失い、全てを捨てた。
その夜からこの路地裏あたりで寝起きするようになった。
いわゆるホームレスだが、まんざらでもない毎日だ。
人生を、家族を捨てた「ヒキョーモノ」か!
いや、どこかで「自由」を求めていたのかもしれない。
ここでの生活で、どうしたことかあの音だけに触発される。
「おちつかない女だ」あの下駄の音はそう思わせる。
今日も路地裏をうろついているようだ。
どこから来ているのか、何をしているのか・・。見当もつかない。
いた!今日は百合の柄の着物だ!裾が風に揺れている。
香りがここまで届くみたいだ。
おやっ?姿が消えた、くそっ!どこへいきやがった。
気がつくと探している。路地から路地を。
百合の花が見たいのか?下駄の音が聞きたいのか?
「ロジウラノゲタノネ」
路地裏の下駄の音
きもの着こなし
− 小説・写真「道呼」 −
… えーっっと!! …
銘仙独特の発色から、沸きだしたこの物語は夏物に模様替えの頃から漠然とできて
いたのす。7月に入ってすぐの日、夫が休みで天気の良い日があり、撮影のチャンス
到来!!サッサと着替えをし、夫を連れて、さびれかかった路地裏の繁華街へ。
うさんくさそうな路地裏・人生の裏側も潜んでいるような気配の裏街に
ぽわっと艶やかな色を?人魂のごとくあっちこっちの角で見てしまったら・・・・。
そんなストーリーにキモノの描写を入れて見ました。おもしろかったです。
・・・・・おそまつでした。
解 説 (道呼)
キモノ : 昭和初期 銘仙の単衣 波文様と百合の花
帯 : 昭和初期 絽の名古屋 市松文様に芍薬の花
半襟 : 絽の白
帯揚げ : 現代物 夏用のスカーフを「帯揚げ」にお見立てつかい
帯締め : 昭和中頃 一昔前に良く使われていた細紐(とよくいわれます)
履き物 : 竹張りの下駄
… コーディネート …
アンティーク着物×アンティーク帯
とにかくアンティークの持つ大胆な模様と発色を思いっきり楽しむ組み合わせに。
でも盛夏なので、暑苦しくないように気を配ったつもりです。
… 着付け …
着物はノーマル、帯結びは一重太鼓
粋人より、道呼先生へ
「いよいよ小説家への転身か?」と思いました
道呼先生の頭の中には、いつも面白いストーリーが渦巻いているようです
今回は男の目線で女を描いています
そして、その女を演じています
彼女のコンセプトを読み取って、イメージ通りの写真を撮る旦那様がいて…
今回もまた道呼ワールドに「してやられた」ワタクシです
道呼先生&ダーリン、今回もありがとうございました!